[今日の出来事]

2022年10月21日

先日、ご葬儀のお手伝いをしたご遺族様から一本の電話が入りました。挨拶もほどほどに、開口一番、「戒名が無いと成仏できずに主人は迷うんですか？」お電話を頂いたのは喪主をされた故人の奥様。このお家の葬儀の執り行い方は、通夜葬儀は行わない、いわゆる直葬スタイルでの送り方でした。直葬は弊社の場合２パターンのご用意があり、火葬場での待ち合わせ、シンプルな火葬のみを目的としたプラン。もう一つは弊社の安置場を使い、出棺前に柩の蓋を開け、故人とゆっくりお別れして頂けるプランです。こちらの喪家はご家族とも話し合い、後述したお別れ可能のプランを選ばれ、葬儀は滞り無く終了しました。直葬とは言え、ご友人や数名の親族様も会葬が出来、告別の時間が取れますので、他社の直葬とは比較にならない満足度が得られるはずです。実際に葬儀をして頂いたご遺族皆様からはお喜びの声を頂きます。問題になったのは故人のご兄弟から「戒名も付けずに故人が迷う！」と厳しい口調で言われた故人の奥様が悩まれている事です。奥様の言い分も勿論有ります。何十年も疎遠になっていた兄弟が・・こんな時にと・・様々なやり取りがあったそうですが、結末は先方が一方的に絶縁宣言をして電話を切ったそうです。いやはや高齢者の、と言っては失礼ですが、ご不幸が有ったばかりの遺族に対する、気遣いの言葉は一言も無かったそうです。後味の悪い話ですが、彼の放った一言が、棘が刺さったように気持ち悪く、弊社に相談されたようです。戒名が無いと、あの世に行くのに道に迷い、成仏出来ないなんて事は、この世に生きる人間に解明出来る事では有りません。それに仏教が日本に伝来したのは６世紀頃。インドから中国、朝鮮半島を渡り伝教されたのが日本仏教の始まりです。仏教を説いたのは仏陀、釈迦と呼ばれるインドの釈尊です。それ以前の日本には日本古来の”神道”が存在しますが神道は成仏論を説いていません、仏教伝来以前の亡くなった方は皆、成仏しない事になります。奥様には、そんな話はしていませんが、仏教は本来、悩みを解決し、人々を救済する意味を説いた物ですから全く気にすることは無いと伝えました。いつしかこのような○○じゃないと成仏できない！のような脅迫観念を用いた表現を一般人が使用する事になってしまった。恐ろしい事です。今話題の宗教系団体は本来の目的意識を持ち直して貰いたいものです。